私は購入当時で築35年だった中古マンションをリフォーム(リノベーション)して住んでいます。
マンションを購入してやっかいなのが理事会・管理組合の役員をしなければならないことです。
私は何の巡り合わせか理事長をする事になってしまったのですが決まってしまったからにはマンションの歴史や財政状態などを知るいい機会だとと腹を括って業務に従事しました。
今回はその時の話です。
※特定を避けるため所々にフェイクは入れてあるかもしれません。(と言いつつ逆に全く入れてないかもしれません。)
マンションの管理報告書を見てビックリ!なんと管理費未納が合計500万円も!すでに時効になっているケースも!
管理費はマンション運営の為に必要な経費と修繕積立です。それを払わない人が大勢いて、回収処理も放置状態。その合計は500万円以上になっていました。
なんと中には100万以上の滞納者もいて、すでに時効になっているケースもありました。
これは大変な状況です。管理費・修繕積立の未納ということは、払わない人の分を残りの人が立て替えているという考え方もできます。また、無利息・督促なしの借金を許可しているという考え方もできます。これはヒドイ・・・。
その①:現状把握
支払方法について
支払方法は口座引き落としでした。つまり引き落とし日に残高が不足していることが未納の原因という事になります。
管理会社どうなってるの!
管理会社の対応はどうなっているのか?と思いましたが管理会社の督促業務はだいたい半年くらいで終了になります。(契約によって違うんでしょうか?)ちゃんと管理委託契約書に記載されていました。つまりその後は管理組合・理事会が督促業務をしなければなりません。管理会社は契約どおりに進めており、担当も変わったタイミングだったので前任者がそれ以上の督促対応は行っていなかったとの事。ここで文句を言っても仕方がないので(言ったけど)これからの対応について回収できるまで対応して頂けるようお願いしました。
時効になっているのはなぜ?
私のケースでは、すでに居住者は別の方に代わっており、前の居住者の滞納が帳簿上未収入金として残っているとの事でした。そして前の居住者は行方不明で・・・そのまま放置になっていました。
滞納者の内訳把握と分類
滞納の状況別に3つに分類しました。後程説明します。
改善前の対応内容
1ヵ月~半年まで電話・書類・自宅訪問にて督促。それ以上も書面での督促はしているが訴訟などは行っていなかった。
その②:滞納状況を3つに分類
1.初期
1ヵ月・2ヵ月の滞納者を初期とした。
普通は忘れないけど、うっかり1ヵ月は誰にでもあり得るし、2ヵ月までならまぁあるかな?と猶予を持たせた。
ここは払う気があっても忘れてしまうレベル。問題度としては低い。
2.中期
3ヵ月~半年の滞納者。
さすがに督促状を受け取りながら3ヵ月忘れ続けるっていうのはうっかりのレベルを超えているという判断。
ここからちょっと問題あり。
3.長期
半年~
督促状を貰いながら半年無視するのはもう完全にクロですわ。という事で長期滞納者としました。
謎:築35年にも関わらず、督促マニュアルが無かった。
最初からルール作りをすれば良かったのですが、ずっと回収までのルールが無かったために未回収の管理費は放置され、遅延損害金(延滞金)を付与する規定もなく、計算するにもすでに何年も経過しているものもありいつ起算にするのか?などの問題もあり個別対応をするしかありませんでした。これが未だに一番不思議です。新築マンションならともかく、歴史あるマンションになぜ回収のルールがなかったのか・・・。
住民に合わせてケースバイケースの対応をする
生活困窮者・年金生活者・開き直って支払わない人、いろんなケースがありました。
ルール作りを検討しながら、現状起きてしまっていたケースについては管理組合・理事会にて個別対応を行いました。
それぞれの家庭に合った返済計画を提出して貰い、全額回収を目標としました。
(別の方法としては訴訟する方法もありますが、管理会社より訴訟しても費用がかかるだけで回収は見込めないとの回答でした。)
また、計画どおりに支払が確認されている間は遅延損害金も免除としました。
全額回収を優先させたのは、やはり元々マンション運営の為に必要な資金ですので、今まで放置されていたのだから気長に待ってでも回収した方が良いとの判断からです。
ここまでの対応
・各滞納者に合わせた無理のない返済計画書を提出して貰う。
・計画どおりに支払がされている間は遅延損害金を免除する。
・計画どおりに支払われなかった際には遅延損害金を付与し、請求する。
その③:督促・回収のルール作成
以下の内容で滞納処理細則を作成。
・1ヶ月滞納者
電話で確認(督促はしない)忘れていませんか?レベル。
・2ヵ月滞納者
文書・電話・郵送などで督促
・3ヶ月滞納者
遅延損害金、督促費用を付加し、配達証明付内容証明郵便により督促を行う。
・6ヶ月以上の滞納者
弁護士・司法書士に委任することができることとし、遅延損害金・委任する司法書士・弁護士費用等を付加し、少額訴訟等の法的措置を追行することとした。
その④:時効を迎えた未回収金をどう取り扱ったか?
・決算時に、損金処理を行った。
最後に
遅延損害金の免除という好条件で返済計画を提出した貰った事で返済することにメリットを持たせた。
また、細則を作成した事により滞納者に対して個別に議論する必要がなくなり、管理組合・理事会の負担が軽減された。(これが大きい。みんなこういう取り立てのような話し合いはしたくないから無駄に時間が過ぎていく事が何度もありました。)
最終的に滞納はほぼゼロになった。(ほぼゼロと表現したのは初期滞納者の数万円~はあるが、長期滞納者が居なくなったという意味。)
ルールが無ければ作ってしまう。そうすれば自分がしなくても誰でも同じように処理を進められるようになります。
偉そうに書きましたが、これ私がやったことではなくて他の理事の方に知恵をお借りして出来上がった事です。
仕事でも問題解決と業務フローの構築は重要なので、個人的にも勉強になりました。
新築マンション・中古マンションに限らず集合住宅にはいろんな人間が住んでいますのでルールがないなら早めにルール作りをされた方が良いかと思います。