これから家を買う人へ伝えたいこと、それは、“家が暮らしを作る”ということです。
私は現在中古マンションを2010年にスケルトンリフォーム(リノベーション)して5年くらい住んでいます。
今回は実際に住んでみてわかった事を、過去の自分自身に向けて、つまりこれから家を買おうと思っている方へ書いてみようと思います。
“家が暮らしを作る”とは
私と妻が中古マンションリフォームするにあたり、建築家の先生からまず聞かれた事は意外な事でした。
「まずは夢を語って下さい、お二人はこれからどんな暮らしがしたいですか?」
家の間取りとか、設備とかの話ではなく、自分たちがどんな暮らしをその家でしたいのか?私たちは平米数とか、立地とかそんな事に気を取られてその家でどんな暮らしとしたいと思っているのかきちんとイメージできていませんでした。
今は私にも経験としてわかりますがおそらく建築家の先生は“家が暮らしを作る”という事を知っていてこのような事を言われたのだと思っています。
私たちが答えたのはこうでした。
「家族みんなが仲良く、一緒に暮らしていきたいです。」
「家族が家に居るのか居ないのかわからないようなのは嫌です。」
「妻も私も家の中で過ごすのが好きなので、みんなで料理したり、映画を見たり、音楽を聞いたりしたいです。」
「家の中で過ごす事が多いので、やっぱ我が家は良いよねって言えるような家にしたいです。」
建築家の先生はこの後いろいろな質問をされて、掘り下げて下さいました。
私たちの夢を列挙するのはこれくらいにしておきますが、5年くらい住んでみて、これらの夢は叶っています。
一部分ですが我が家の間取りをご覧下さい。エクセルで即席で作りましたので縮尺とかはめちゃくちゃです。レイアウトだけの参考資料です。
右下の丸が3つくらいあるのはIHです。その上の四角はシンクです。いわゆるアイランド II列型キッチンというやつです。左側はそれぞれ部屋があります。1つが和室コーナーになっていたりしてマンションのリビングで良くあるタイプの間取りかと思います。
キッチンの配列についてはこちらでより詳しく見る事ができます。本題ではないのでここでは詳細を書きません。(専門ではないので書けないというのは内緒。)
LIXIL | キッチン | 選び方のヒント | 間取り・レイアウト(アイランド、対面式、ペニンシェラ、I型)
少し話が逸れますが、中古マンションリフォームを建築家と相談しながら進めていくと、かなり建築とか住宅設備に詳しくなります。なぜなら全て自分たちで選ぶからです。建築家の先生もいろいろいらっしゃるかと思いますが、私が依頼した建築家の先生はアドバイスや提案はするけど最終的には私たちが決めてね、というスタンスでした。そんな理由から私は全く住宅業界とは関係ありませんが住宅設備について多少詳しくなりました。
全部自分で決めるという事が好きなら良いですが、嫌いなら手間に感じるかもしれません。しかし私は一生住むかもしれない家のことなので全て自分で選びたいと思いました。
ドアノブはどれにする?とか聞かれるんですよ。ドアノブのカタログなんてリノベーションしなければ一生見る事はなかったでしょう。
話を戻します。
このアイランド II列型キッチンの良いところは、オープンになっていて料理しながらリビング全体を見渡せること。IHを使っている間は背中を向ける事になりますが、ちょっと振り返るとリビングが見えます。子供が歩きはじめの頃、リビングで遊ぶ姿を見ながら料理できるので子供も寂しい思いをせずに済み(←聞いていないのでわかりませんが)妻も子供の姿が見えるので安心だと言っていました。
もう1つの良いところはみんなで料理ができるという事です。
料理カテゴリーに少し記事がありますが、我が家では料理を皆で作ったりしています。最初に建築家の先生に伝えた“夢”が叶っています。
私の実家は閉じたキッチンで母は「男子は台所に入るべからず」的な人でした。私はほとんど料理をしたことがなく、後に多少苦労することになりました。やってみると案外食べられる程度の料理は作れるものでしたので多少の苦労としています。
妻の実家はオープンキッチンでした。妻の実家でも家族みんなで料理をすることが良くあったそうです。
私が思うのは、オープンキッチンだと娘も親が料理している姿を常に見ています。するとある日「私もやってみたーい!」となります。その時がチャンス!時間はかかりますが一緒に料理をしたり、洗い物をしたりすることで自然に慣れていきます。最初は食器を運んだり、テーブルを拭くだけでも良いです。
ここからわかることは、家を設計するという事は人の暮らしを設計することでもあるという事です。
“暮らすために家を買う”のと“家を買って暮らす”の違い
当初、中古マンションリフォームで暮らそうと思っていた訳ではなく、新築戸建か新築マンションを購入する予定でした。
まず最初、注文建築で一戸建てを買うという事について・・・これは予算オーバーでした。高すぎると思いませんか?私は思いました。家を買うために働いている訳ではありません。幸せに暮らすために家を買うのです。できるだけお金をかけたくはありませんでした。
次に建売の新築戸建、マンションについて。内覧を何度もしていく過程である日気が付きました。どこも間取りはあまり変わらない。価格帯も同じなら設備もほとんど同じ。全く楽しくありません。それでいてまだまだ高いです。
そんな時、建築関係に勤めている友人が言っていた一言を思い出しました。
「俺だったら中古マンションリフォームして暮らすかな・・・」
リフォームと言えば、劇的なんたらみたいなテレビで見たイメージだったのですが、インターネットで施工事例を見てみると自分のイメージしていたものとは違っていました。
中古戸建のリフォームはまた別ですが、中古マンションのスケルトンリフォーム(リノベーション)に限って言えば「家の中だけにお金を使って家の中を新築する」という事だと思います。
物件も年数が経過してれば新築で買う場合の半額以下になっていることも多いです。そして家の中だけを新築する中古マンションリノベーションなら新築戸建や新築マンションを購入するのに比べるとかなり安いです。安いって言っても私の場合数百万円はしましたので果たして安いと言えるのか微妙ではありますがそれでも安いです。
そして中古マンションリノベーションなら家の中だけは注文建築のように好きなように作ることができます。(※多少制限されることはあります。例トイレの場所は移動できない、構造壁は壊せないなど)
家を買う時に思った事、“家を買いたいから買う”のではなく“幸せに暮らすために家を買う”というのは今のところ間違っていなかったと思っています。
中古マンションリノベーションを選択しドアノブやキッチンの天板の材質などあらゆるものを選ばなくてはならず、とても大変でしたが全てに愛着があります。
日頃は何気なく過ごしていますがふとした時に、自分が納得して選んだものに囲まれて暮らすのはとても幸せな事です。動物が自分で巣を作るのに似ているのかもしれません。もちろん、誰かの作った巣に住む動物もいますのでどちらに幸せを感じるタイプなのか?という話なんですけどね。
最後に
家は賃貸か持ち家か、資産か負債か、など議論はありますが正解は最後までかわらないと思います。
今のところ私は持ち家にして良かったと思っています。
それは“幸せに暮らす”という夢が叶っているからです。
この記事は皆さんに家を買おうと薦めている訳ではありません。これを読んで下さった方が家を買う事について考える一助となれば幸いです。
また、私が書けることと言えばこういった中古マンションリノベーションをして実際に暮らしている感想だと思っています。これからもこのカテゴリを書いていこうと思っていますので宜しくお願い致します。